聖観音菩薩って、どんな仏様?
聖観音菩薩とは
聖観音菩薩は大乗仏教で信奉される菩薩に属する尊格で、観世音菩薩の変化観音の一つです。観世音菩薩の基本形なので「正観音」とも呼ばれます。
サンスクリット語でアーリヤ・アヴァローキテシュヴァラ(Āry-Avalokiteśvara)と呼び、アーリヤとはヒンドゥー語で「高貴な」、アヴァローキテシュヴァラは観世音菩薩を意味します。
聖観音菩薩は六道輪廻で地獄道を司り、地獄に堕ちた人々を救済する役割を担います。他の変化観音が多面多臂の異形の姿で表現されるのに対し、聖観音菩薩は一面二臂の人の姿で表現されます。
中国宋代の天台宗第十四祖・四明知礼(しめいちれい)の解釈では、聖観音菩薩は過去仏の正法如来(真理を明らかにした如来のこと)が大慈悲により人に近い形で現れた姿としています。このため聖観音菩薩を大慈観音と呼ぶこともあります。
また曹洞宗の開祖道元禅師は、観世音菩薩の変化観音の中で聖観音菩薩が中で最も尊い菩薩としています。
聖観音菩薩の仏像の見分け方
仏像では聖観音菩薩は柔和な表情を浮かべた貴人の姿で表現され、如来と同様に眉間に白毫があり、頭髪は髻(ゲイ)と呼ばれる髪を頭上に高く束ねるもとどりを結い、化仏と宝冠を戴きます。また身は条帛(じょうはく)と、裙(くん)のツーピースの法衣と天衣(てんね)を肩や腕に巻き、さらに臂釧(ひせん)、腕釧(わんせん)、瓔珞(ようらく)といった装飾品を身にまとっています。
聖観音菩薩の手の表現は主に以下の4通り
- 左手肘を掲げ大悲無畏印を結び、右手に法瓶を携える
- 左手に蓮華を持ち、左手に施無畏印を結ぶ
- 両手を膝の上にのせ法界定印、或いは阿弥陀定印を結ぶ。
- 両手で説法印を結ぶ
ただし、必ずしも以上に挙げた形が定型ではなく、他にも様々な姿で表現されます。
聖観音菩薩は阿弥陀三尊の観世音菩薩と同体です。阿弥陀三尊時は「観世音菩薩」、単身像として祀られる時のみ「聖観音菩薩」と呼びます。聖観音菩薩を象徴する三昧耶形は蓮華。仏教絵画などで蓮の花を描く時は聖観音菩薩を表現しています。
聖観音菩薩の真言
唵 阿嚧力迦 娑嚩賀
※聖観音の真言は観世音菩薩と同じです。
聖観音菩薩が安置されている主な寺院
奈良県 法隆寺 木造観世音菩薩像【百済観音】(国宝)
奈良県 薬師寺 聖観音立像
東京県 浅草寺 聖観音
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