宗派別ご本尊早見表 あなたの仏壇に迎える仏像はどれ?

コラム

宗派別で見る仏壇のご本尊

宗派別ご本尊早見表

ご先祖様を祀る仏壇には各宗派でご本尊が決められています。まずは各宗派とご本尊の早見表を見てみましょう。

系統 宗派 ご本尊 脇侍(脇掛け)
密教系 真言宗 大日如来坐像 不動明王 弘法大師
天台宗 阿弥陀如来坐像又は釈迦如来坐像 伝教大師 天台大師
浄土系 浄土宗 阿弥陀如来立像 圓光大師 善導大師
浄土真宗大谷派 九字名号 十字名号
浄土真宗西本願寺派 親鸞聖人影像 蓮如上人影像
時宗 真教上人 一遍上人
融通念仏宗 十一尊天得如来 法明上人 良忍上人
禅宗系 曹洞宗 釈迦如来坐像 道元禅師 瑩山禅師
臨済宗 普賢菩薩 文殊菩薩
黄檗宗 隠元禅師 達磨大師
日蓮系 日蓮宗(上・関東)(下関西) 大曼荼羅 大黒天 鬼子母神
鬼子母神 大黒天

密教系のご本尊

密教は加持祈祷による呪術で願いを叶え、この世で成仏することを目的とした宗派で、日本では真言宗と天台宗が密教にあたります。

真言宗のご本尊

真言宗は弘法大師空海が開いた宗派で、ご本尊は金剛界の大日如来で、仏壇には智拳印を結んだ坐像を安置します。また脇侍として左脇侍に不動明王、右脇侍に弘法大師を安置します。

不動明王は大日如来の忿怒形の化身で、弘法大師も師の恵果から灌頂を受けた時、大日如来を意味する遍照金剛の名を授けられているので、共に大日如来の化身と見なせます。

天台宗のご本尊

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天台宗で一般的に仏壇にご本尊として安置するのは阿弥陀如来の坐像です。他は仏教の開祖の釈迦如来を安置することもあります。また脇侍として左脇侍に日本に天台宗を伝えた伝教大師最澄、左脇侍に中国で天台宗を開いた天台大師智顗に御影を描いた(ちぎ)の脇掛けを祀ります。

天台宗は日本仏教界の母山と称されるように諸仏を信仰するため、ご本尊に規定がありません。仏壇にご本尊をお迎えする時は、事前に菩提寺に問い合わせた方が良いでしょう。

 

浄土系のご本尊

浄土系は阿弥陀如来を信仰することで、来世で極楽浄土に生まれ変わることを教義にしている宗派です。日本では浄土宗、浄土真宗、時宗、融通念仏宗が浄土系に含まれます。

浄土宗のご本尊

浄土宗は法然が開いた宗派で、阿弥陀如来に帰依し極楽浄土に生まれ変われることを説いた宗派です。そのため浄土宗の仏壇のご本尊は阿弥陀如来の立像。また左脇侍に日本の浄土宗を開いた圓光大師法然、右脇侍に中国で浄土宗を広めた善導大師の御影を描いた脇掛けを祀ります。

浄土真宗のご本尊

浄土真宗は法然の弟子の親鸞が開いた宗派です。浄土真宗の信仰の対処は浄土宗と同じ阿弥陀如来ですが、親鸞の死後十派に分裂したため仏壇でお祀りする本尊と脇侍が宗派ごとに異なります。

浄土真宗の本尊は阿弥陀如来の立像ですが、西本願寺と東本願寺で祀っている阿弥陀如来像の様式により違いがあり、宗派により東か西かのどちらかの阿弥陀如来立像を祀ります。また脇侍も異なっているので、以下の表を参考に指定ください。

浄土真宗 本尊 脇侍(脇掛け)
左脇侍 右脇侍
大谷派(東本願寺派) 阿弥陀如来立像(東) 九字名号 十字名号
西本願寺派 阿弥陀如来立像(西) 親鸞聖人影像 蓮如上人影像
高田派 阿弥陀如来立像(東) 九字十字名号 親鸞聖人影像
観世音菩薩 勢至菩薩
佛光寺派 九字名号 十字名号
三門徒派 十字名号 九字名号
誠照寺派 阿弥陀如来立像(東西可) 九字名号 十字名号
木辺派 阿弥陀如来立像(西)
出雲路派
興正寺派
山元派

時宗のご本尊

時宗は一遍が開いた宗派で、浄土宗や浄土真宗と同じく信仰の対象は阿弥陀如来です。そのため時宗の仏像では本尊として阿弥陀如来の立像を祀ります。また脇侍として左脇侍に一遍の最初の弟子の真教上人他阿、右脇侍に一遍上人をお祀りします。

融通念仏宗のご本尊

融通念仏宗は平安時代末期に聖応大師良忍によって日本で誕生した浄土系の宗派です。関東であまり知られていませんが、関西では著名な宗派です。阿弥陀如来を信仰の対象としていますが、融通念仏宗の仏壇に祀るご本尊は阿弥陀如来を中心に諸仏来迎を描いた「十一尊天得如来」の掛け軸を祀ります。

また脇侍として左脇侍に融通念仏宗中興の祖である法明上人、右脇侍に開祖である良忍上人の御影の脇掛けをお祀りします。

禅宗系のご本尊

禅宗は仏教の開祖の釈迦牟尼が悟りを開いたように、自らが現世で悟りを開くことを目的とした宗派です。日本では曹洞宗、臨済宗、黄檗宗が禅宗です。

曹洞宗のご本尊

曹洞宗は中国で生まれた禅宗の一派で、開祖をインド僧の菩提達磨と定めています。日本には道元によって伝えられます。曹洞宗の仏壇にはご本尊として仏教の開祖である釈迦如来が祀られます。

また脇侍として左脇侍に日本曹洞宗の開祖道元禅師、右脇侍に日本曹洞宗第四祖・瑩山(けいざん)禅師の御影の脇掛けを飾ります。なお、曹洞宗では道元を高祖大師、瑩山を太祖大師と呼びます。

臨済宗のご本尊

臨済宗も中国生れの禅宗の一派で、その祖を菩提達磨としています。日本には栄西がもたらします。。仏壇に祀るご本尊は曹洞宗と同じ釈迦如来ですが、臨済宗では師から弟子への悟りの伝達を重視したので、現在は14派に別れ宗派毎に脇侍が異なります。詳しくは下の表を参考にして下さい。

臨済宗最大派閥の妙心寺派では左脇侍に妙心寺を開山した花園法皇、左脇侍にその開山にあたった無相大師関山慧玄(かんざんえげん)の脇掛けを祀ります。それ以外の宗派では左脇侍に各派の本山を開いた僧、右脇侍に達磨大師の御影の脇掛けをお祀りします。

またこれ以外にどの宗派も本来の釈迦三尊である普賢菩薩を左脇侍に、文殊菩薩を右脇侍にお祀りしても構いません。

臨済宗14派 本尊 脇侍(脇掛け)
左脇侍 右脇侍
妙心寺派 釈迦如来坐像 花園法皇 無相大師
建長寺派 大覚禅師 達磨大師
円覚寺派 佛光国師
南禅寺派 大明国師
方広寺派 聖鑑国師
永源寺派 正燈国師
佛通寺派 愚中禅師
東福寺派 聖一国師
相国寺派 普明国師
建仁寺派 栄西禅師
天龍寺派 夢窓国師
向嶽寺派 大円禅師
大徳寺派 大燈国師
国泰寺派 妙意禅師

黄檗宗のご本尊

黄檗宗は江戸時代に中国僧の隠元隆琦(いんげんりゅうき)がもたらした禅宗の一派です。黄檗宗の仏壇ではご本尊として釈迦如来の坐像、左脇侍に隠元禅師、右脇侍に達磨大師の御影の脇掛けをお祀ります。

日蓮宗のご本尊

日蓮宗は天台僧だった日蓮が開いた日本独自の仏教です。日蓮宗の仏壇の本尊は題目と諸仏の名が記された十界曼荼羅の掛け軸をお祀りします。脇侍は宗派により異なりますが、一般的に関東では左脇侍に大黒天、右脇侍に鬼子母神をお祀りします。関西ではその逆です。

また宗派により日蓮上人の坐像を本尊か脇侍に置く場合があります。日蓮宗の方は事前に仏壇に祀る本尊を菩提寺に問い合わせた方が良いでしょう。

ご本尊をお迎えしたら魂入れを

仏壇に祀るご本尊や脇侍は仏具店でお求めいただけます。ただしそこで購入した仏像や掛け軸はこの時点では単に「物」でしかありません。御仏壇に供えた後は、必ず菩提寺の住職に「魂入れ(開眼供養)」をしてもらってください。これによりようやくご本尊としてご先祖様を見守っていただけます。

また止むを得ずご本尊を替える、あるいは仏壇を廃棄したりなければならない時は、同様に菩提寺の住職に「魂抜き(併願供養)」をしてもらってください。さもなければ、それまでご先祖様を見守っていただいたご本尊に不敬を働くことになるのでご注意ください。

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