十二支お守り本尊(干支守護本尊)のご利益とは/生まれ年で開運厄除

コラム

十二支お守り本尊の利益とは

十二支お守り本尊とは

十二支お守り本尊とは、生まれ年により一生あなたを守護してくれるとされる仏様のことです。古くは干支で東西南北の八方位を表していたので、この八方位を基準に干支ごとに仏様を割り当ています。

これらの仏様はあなたが信じる宗派とは関係なくあなたを一生守護します。そのため生まれ年の十二支お守り本尊の仏像を祀ったり、それにまつわるものとお守りとして身に着けたりすると災いを除き幸福に導いてくれるとされています。

子年生まれの方 千手観音菩薩

千手観音菩薩はその名の通り手が千本あるとされる仏様で、千本の手はこの世で苦しむ衆生一切を救済すると言われています。千手観音菩薩は寿命を延ばし、罪を消し、食料や財産を満たしてくれるご利益があります。

千手観音菩薩の種子(梵字)は「キリーク」です。

 

丑・寅年の方 虚空蔵菩薩

虚空蔵菩薩は仏教の「空」の思想を体現した仏様で、主に記憶面を司る智慧の神です。虚空蔵菩薩は向上させ、災いを取り除き、財を増やすご利益があります。

虚空蔵菩薩の種子(梵字)は「タラーク」です。

卯年の方 文殊菩薩

文殊菩薩も知恵の仏様で、学問や知識に基づいた正しい判断に導く神様です。文殊菩薩は合格祈願や学問成就、また事業の成功などにご利益があります。

文殊菩薩の種子(梵字)は「マン」です。

辰・巳年の方 普賢菩薩

普賢菩薩は仏教の真理を表す仏様で、人を悟りに導く神様です。普賢菩薩は悪運を断ち切り、障害を取り除き、寿命を延ばすご利益があります。

普賢菩薩の種子(梵字)は「アン」です。

午の方 勢至菩薩

勢至菩薩は観世音菩薩と共に阿弥陀如来を補佐し衆生を救済する仏様です。勢至菩薩は邪悪や障害を取り除き、事業を成功させ、吉祥を与えるご利益があります。

勢至菩薩の種子(梵字)は「サク」です。

 

未・申年の方 大日如来

大日如来は大宇宙の真理を体現する仏様で、太陽を象徴する神様です。大日如来は魔除けや諸願成就にご利益があります。

大日如来の種子(梵字)は「バン」です。

 

酉年の方 不動明王

不動明王は仏教の守護神とされる仏様で、大日如来の化身とされる神様です。不動明王は厄除けやむ無病息災、増益にご利益があります。

不動明王の種子(梵字)は「カーン」です・

戌・亥年の方 阿弥陀如来

阿弥陀如来は衆生を救済し極楽浄土に導く仏様です。阿弥陀如来は病気や災いを取り除き、安寧を与えるご利益があります。

阿弥陀如来の種子(梵字)は「キリーク」です。

十二支お守り本尊の仏教経典はあるの?

十二支と現代と同じお守り本尊を関連付ける仏教の経典はありません。

干支と仏教の仏様を関連付けるものに薬師如来十二神将があります。この十二神将は薬師如来の眷属とされる夜叉です。

『薬師経(薬師瑠璃光如来本願功徳経)』には薬師如来の十二誓願が説かれ、の十二神将はこの十二誓願を達成するため実動部隊の位置づけです。唐の時代、中国では病気平癒のご利益がある薬師如来信仰が盛んで、敦煌壁画にも薬師如来と共に十二神将が描かれています。

後世、中国でこの『薬師経』の解釈本が書かれると十二神将に干支や本地仏が勝手に割り当てられました。この十二神将は日本にも伝わり、奈良時代に薬師如来信仰が流行すると薬師如来像と共に十二神将像も盛んに作られます。

もちろん十二神将と十二支の関連性は適当なので、底本により日本の十二神将と干支の関係もバラバラで一致しません。ちなみに十二神将と干支、本地仏の関係の一例は以下の通りです。

十二神将 十二支 本地仏
宮毘羅大将 弥勒菩薩
伐折羅大将 勢至菩薩
迷企羅大将 阿弥陀如来
安底羅大将 観世音菩薩
頞儞羅大将 如意輪観音
珊底羅大将 虚空蔵菩薩
因達羅大将 地蔵菩薩
波夷羅大将 文殊菩薩
摩虎羅大将 大威徳明王
真達羅大将 普賢菩薩
招杜羅大将 大日如来
毘羯羅大将 釈迦如来

上記の表では阿弥陀如来や文殊菩薩、勢至菩薩など今に伝わる十二支お守り本尊にもある仏様もありますが、不動明王や千手観音は入っていません。また位置関係もほとんど一致していません。そのため十二支お守り本尊は別の信仰から生まれたと考えられます。

十二支お守り本尊の誕生は江戸時代

実は十二支お守り本尊は、実は日本で誕生した思想です。

十二支お守り本尊について書かれた書物は1690年に画工の土佐秀信が刊行した『仏神霊像図彙』に紹介されています。この書物は当時日本で信仰されていた神仏を分類し、図と簡単な説明を加えたものです。ここで現代と同じ十二支お守り本尊の八尊仏が「一代守本尊」として紹介されています。

この一代守本尊の図にはそれぞれの生まれ年とそれぞれの本尊にお参りする縁日が付されていますが、それぞれの本尊には『易経』で使われる方位の漢字と用語が記されています。

そのため、この八尊仏はもともと干支より方位除けの神様の位置づけだったことが伺えます。ただし、どのような過程で八尊仏が描かれたかは不明です。

十二支お守り本尊と江戸時代と占い

この本が刊行されたのは元禄時代で、町民が経済的豊かになり様々な文化、芸術、学問が花開きました。江戸時代は「占い」も学問の一つして学ばれ、平安時代に流行した陰陽道や風水の元となった『易経』も庶民の間で盛んに学ばれます。

また科学が未熟な時代なので様々な迷信が信じられ、現代以上に厄除けや方位除けが行われていました。訪問先の方位が悪いので、迂回して目的地に向かう「方違え」といった方位除けの呪いも日常的に行われています。

『易経』では森羅万象を八卦で表し「乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤」の8つの漢字を割り当てます。この八卦は方位にも充てられ、その方位は昔の日本でも使われています。この八卦は古代中国で干支と関連付けられ、昔の日本でも方位や時刻を表す時にこの八卦の漢字が使われます。

一方、日本では古くから神仏習合が盛んで、日本の神道の神々に仏教の仏様を本地仏として割り当てることが数多く行われています。また中国で生まれた地獄の十王信仰でさえ、日本で仏教の仏様が割り当てられ、現在は年忌供養で祀る十三仏として定着しています。

そのため、もともと方位除けで割り当てた八尊仏ですが、方位に十二支が関連していたため、後世生まれ年を司る一代守本尊と変化したと考えられます。この一代守本尊の呼び名は現代も東北地方の民間信仰で盛んに用いられています。

余談ですがネットで「十二支お守り本尊」の仏様は十三仏から採用されたと書かれたものが散見されます。しかし十三仏には子年の千手観音が入っていないので、ブロガーがろくに確認せずに書き込んで拡散した誤情報です。

 

十二支お守り本尊のご利益を得るには

十二支お守り本尊のご利益を得るには、自分が生まれた年のご本尊に関係するお守りを身に付けたり、或いは仏像などを祀ったりすることで簡単に得られます。もともと民間信仰から生まれたので、特定の宗派は関係していません。

寺院境内の御守販売や門前のお土産物店などにも十二支お守り本尊に関するお守りやアクセサリー、グッズなどが数多く販売されています。あたなのお気に入りを見つけ、ぜひ十二支お守り本尊もご利益をお授かりください。

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